練馬 円光院

 我が家から東に600m、目白通り沿いのこじんまりしたお寺です。
 通りに面して「南池山貫井寺円光院」の小柄な門柱があり、やっと分ります。
 私にとっては「貫井の権現さま」、春秋には植木市、正月には鐘突きと気楽に立ち寄るお寺でもあります。


 門を入ると、両側を住宅に囲まれた広い参道が100m続き、先に朱塗りの山門が目に付きます。
 昭和47年造立「真言宗豊山派 南池山円光院貫井寺」のまだ新しい寺院名碑が、門前に控えています。
 山門の左右には、道路拡張とか改葬などで移転されたと思しき様々な石仏・石碑が安置されています。


 
        寺院名碑と参道                朱塗りの山門                寺院名碑

 山門をはさんで右手には、「延命地蔵」「六地蔵」「一石三体六地蔵」「馬頭観世音菩薩供養塔」が並んでいます。
 「六地蔵」は、優しい顔をしていたり、老け顔だったり、剥落していたり、享保・宝暦・明和 (1729-1767) の三代にわたり
 建て加えられた年輪を感じます。


             
         延命地蔵像像                           六地蔵菩薩像
     享保十二年(1727) 造立   明和五年(1767)・宝暦九年(1759)・天保七年(1836) 造立
                                    天保七年(1836)・享保十四年(1729)・享保十四年(1729) 造立
 
                   一石三体六地蔵                       馬頭観世音菩薩供養塔 
                  安永六年(1777) 造立                      明治三十四年(1901) 造立

 山門をはさんで左手には、練馬区登録文化財の「子ノ聖観世音の石碑」及び「如意輪観音像」「延命地蔵」「馬頭観音塔」が並ん
 でいます。
 「子ノ聖観世音の石碑」の後ろには、3基の「青色金剛像の庚申塔」が佇んでいました。
 内、元禄五年の青面金剛像には、中ほどに断裂跡がありました。
 「如意輪観音像」は、表情が豊かに出ており、つい見惚れてしまいます。
 「豊島八十八ヶ所霊場標石」は道しるべにもなっていて、右下に「右 南蔵院ヘ十五丁」左下に「左 長命寺ヘ十八丁」と
 陰刻があります。

 
        山門左側の石造               六基の石造
 
      同 三基の馬頭観音碑           同 二体の地蔵菩薩像            同 如意輪観音像
 昭和二年(1927)・不明・大正十二年(1923) 造立                         文化八年(1811) 造立
 
 子ノ聖観世音の文字塔・豊島八十八ヶ所霊場標石・    同 標石下に道しるべの陰刻          後ろに七基の石造
 文化七年(1810)・明治四十一年(1908)) 造立   
 
同 大乗妙典六十六部供養塔           同 馬頭観世音の石碑・六十六部供養塔   同 青色金剛像の庚申塔・百ヶ所順礼供養塔
  青色金剛像の庚申塔・青色金剛像の庚申塔   大正十四年(1925)・享保十一(1729) 造立   元禄六年(1693)・安永七年(1778) 造立
明和七年(1770)・宝永元年(1704)・元禄五年(1692) 造立


 山門を入ると、30m先の本堂に面します。
 本堂前の左手には「権現小槌」の石造が、右手には、昭和50年に第二次世界大戦の戦没者の慰霊と世界平和を祈って作られた
 「平和観音像 (聖観音)」が控えています。 時代は新しいが、程々に苔生しており趣がありました。

 
       一対の青銅の燈籠                本堂
     昭和三十八年(1963) 再建
 
         権現小槌                 平和観音               趣きあるつくばい


 境内の右手には、毎年正月に鐘を突きに来る鐘楼があります。
 鐘楼の四方の梁には、狛犬と思しき彫り物が見下ろしていました。

 
           鐘楼                  同 梵鐘                同 梁の彫刻

 境内の左手には「弘法大師像」「不動明王像」「宝篋印塔」が並び、「観音堂」へと続いています。
 明治35年に下総成田山より勧請した「不動明王像」は、完成度の高い美術品を思わせます。

 
 
        整然と並ぶ石像               同 弘法大師像
 
      同 本尊の不動明王像                 同 拡大画像                同 宝篋印塔 
                                                 文政十年(1827) 造立  

 宝篋印塔の脇を入ると、樹高18mもの風格のある練馬の名木イチョウの脇に、無縁塔と63体の無縁仏が安置されています。

 
      イチョウの脇に無縁塔          同 無縁塔と63体の無縁仏            同 無縁塔の横側 

 青銅の弘法大師像の右隣には、お堂に入った「弘法大師像」、後ろには「十一面観音像」が安置されていました。
 更に右側には、本尊子ノ聖観音を祀る「観音堂」があります。


 
          弘法大師像                   地蔵堂                 同 弘法大師像  
 
         観音像の祠              同 十一面観音菩薩像
 
          観音堂             同 十一面観音(子ノ聖観音
)

 駐車スペースの辺りに、二基の「板碑」が配置されていました。

 
         三基の石碑               同 二基の板碑




 「円光院」は、小さいお寺ですが「子ノ聖観世音」の本拠地であることを初めて知りました。
 子ノ聖観世音と言っても、実際は馬の守り本尊である馬頭観音のことで、馬の由来が多い「練馬」と縁が深かったのでしょうか。
 氷点下に近い朝でしたが、寒さと時間を忘れていました。