狭山霊場巡り (1)

 昨年秋に「清戸道」の石仏探索を計画しましたが、調査が進まずズルズルと延びてしまいました。
 「清戸道」の探索は一旦置いといて、気分転換に近郊の石仏巡りをと思い立ち、最寄の西武線界隈の「狭山三十三観
 音霊場」巡りを企画しました。

 「狭山三十三観音霊場」(所沢市・東村山市・東大和市・武蔵村山市・瑞穂町・入間市の6市町)は、多摩湖・狭山
 湖の周りを「の」の字を描くように点在しています。
 狭山三十三観音霊場のおこりは、天明8年(1788)の開創と伝えられています。
 狭山巡礼は、一番金乗院から三十三番妙善院までの緑豊かな狭山丘陵と自然の風光を背景に、一巡約42km程ありま
 す。 
 霊場巡りにあたっては、「武蔵野三十三所観音巡礼」(武蔵野観音霊場会編 白木利幸著) と (社)日本ウォーキング協会
 発行の「武蔵の国百観音一筆巡り」を基に、東京都で唯一の国宝建造物がある「正福寺」を中心に、東村山市と東大
 和市に点在する寺院を巡るプランを立てました。


 西武池袋線富士見台駅より約30分、西武新宿線東村山駅に降り立ったのが10時でした。
 約15Kmの行程を、マップとにらめっこしながら、新緑の狭山丘陵なども探索しウォーキング気分を楽しもうとワク
 ワクした気分でスタートしました。

 
          東村山駅


 東村山駅から 西武国分寺線沿いに徳蔵寺に向かう途中、個人のお屋敷門前に東村山市指定文化財「旧蹟鎌倉古道跡」
 の標柱を見つけました。 鎌倉街道の上ツ道にあたるのでしょうか。


 
      旧蹟鎌倉古道跡の標柱


 更に100m進むと、こじんまりした「久米川白山神社」がありました。
 「牛頭天王像」が祀られているとのことでしたが、社の奥に収められていて拝観はかないませんでした。
 社前には新旧2対の狛犬が控えていました。 鳥居前の、かなり古く表情が剥落した和風の獅子型狛犬に興味を惹か
 れました。


 
       白山神社 神明型鳥居             鳥居前 和風獅子型狛犬          社殿前 宋風獅子型狛犬
 
          社殿               同 社殿内 牛頭天王像 (転写)


 近くにお堂があり、「2体の延命地蔵像」と、両脇に数体の小さな石仏が鎮座されていました。


 
          お堂                     同 堂内              同 二体の延命地蔵像


 西武新宿線の踏切を渡ると、程なく 武蔵野三十三観音霊場第8番札所 かつ 狭山三十三観音霊場11番札所の
 「福壽山徳蔵寺」が見つかりました。
 山門の横に「六地蔵像」が鎮座しており、六地蔵尊のとなりも地蔵菩薩がたくさん置かれています
 真直ぐに延びる石畳の先に、「本堂」があります。
 国の指定重要文化財である「元弘の板碑」が、祠に安置されていました。 内部が狭く全体を見るのが容易ではあり
 ませんでした。


 
           寺院門                門横に六地蔵像
           
          本堂                  元弘の板碑                5基の地蔵菩薩像

 狭山三十三観音霊場第12番札所の「桃源山永春庵」は、山門を入って左手に建つ銅葺屋根に鴟尾を乗せた建物です。
 ご本尊は石の観音様だったということですが、現在は金ぴかの「聖観世音菩薩像」がガラス戸の中に祀られていまし
 た。

 
         永春庵                同 聖観世音菩薩像



 新田義貞が陣を敷いた八国山の尾根を、西武西武園線に沿い暫らくウォーキング気分を味わいました。


 
        八国山の尾根
          

 西武西武園線の踏切を渡り、新東京百景の一つ「北山公園」を横断しました。
 有名な花菖蒲の見頃にはまだ早かったようです。 


 
          北山公園                  菖蒲園


 更に南下すると、程なく狭山三十三観音霊場13番札所「金剛山正福寺」です。
 「地蔵堂」は、都内唯一の国宝建造物と言われていますが、現在は補修工事中でした。
 地蔵堂が有名ですが、東村山市指定有形文化財の「山門」及び「本堂」もなかなか立派なものでした。
 山門から境内に入ってすぐ左手には、都内最大 高さ285cm・幅55cm 秩父長瀞を産地とする秩父青石でつくられた
 板碑「貞和の板碑」を保管するお堂があります。
 しかし、目当ての石仏・石造物は意外に少なく、期待はずれな所もありました。


 
      山門と千体地蔵堂の碑              寺院名碑                    本堂
     
          薬師如来像                同 拡大画像                  鐘楼 
 
       貞和の板碑のお堂            同 堂内 貞和の板碑
                          正平四年(1349) 造立
 
    墓地入り口に2体の地蔵菩薩像           同 拡大画像

 山門横に 正福寺鎮守の「八坂神社」がありました。
 左後方には、補修工事中の 正福寺地蔵堂が見えます。
 正福寺角に、「青面金剛像の庚申塔」が安置されていました。


 
         神明型鳥居と拝殿            青面金剛像の庚申塔 
                               享保×年 造立


 2Km余り西へ、西武多摩湖線の踏切を渡り 多摩湖脇の狭山公園を南下すると 東大和市旧跡の狭山三十三観音霊場 
 15番札所「清水観音堂」です。
 青梅街道の脇にある小さな観音堂で、周囲は柵とブロック塀で囲われています。
 堂の裏に回ってみると、「馬頭観世音菩薩の石碑」と剥落した石仏2体が祀られていました。


 
          清水観音堂                 堂宇               十七番札所の説明板 
 
 馬頭観世音菩薩の石塔と2基の剥落した石仏         同 拡大画像
                                       


 往来の激しい街道に面して、可愛らしい「伝兵衛地蔵」が祀られています。

 
 
        道路に面して覆屋               伝兵衛地蔵尊                同 拡大画像


 さらに700m西へ進むと、武蔵野三十三観音霊場第8番札所の「愛宕山圓乗院醫王寺」があります。
 階段横の、傘付の「石憧六面地蔵」が目を惹きました。
 重厚な「鐘楼門」には、「阿吽の仁王像」が睨みを利かせています。 真近かで見るとなかなかの迫力です。
 山門を入ると、左右に掃除・読経・居眠り色々な表情をする地蔵さんが出迎えてくれました。


 
           鐘楼門                  同 門内 仁王像              傘付の石憧六面地蔵
      寛延二年(1749) 造立
 
        左の地蔵さん               右の地蔵さん             手水舎の横の巨大な山灯篭
 
           佛足石                 本堂への登り階段               階段中腹に岩山 
 
      本堂横に剥落した地蔵像             宝篋印塔の傘部

 「千体地蔵尊供養塔」と、夥しい数の地蔵像が印象的でした。
 まだ御影石の白さが残る石仏が、本堂の右横から裏手まで安置されています。


 
         千体地蔵尊供養塔       ------------------------- 堂の横に配置されている石仏群 ------------------------
 
 -------------------------------------------- 堂の裏手に配置されている石仏群 -------------------------------------------


 圓乗院を出て直ぐのT路地の正面に、「狭山神社」がありました。


 
          社殿

 

 狭山神社を左折すると直ぐ、東大和市旧跡の 狭山三十三観音霊場17番札所「霊性庵」に出ました。
 階段横には、見事な「石憧六面地蔵」が設置されています。
 庵の裏手には、「馬頭観世音の石塔」と「青面金剛像の庚申塔」など数体の石仏が安置されています。


 
          本堂                 石憧六面地蔵 
 
        階段を上ると六地蔵像             馬頭観世音の石塔
          
          5基の石造物                 同 左 大日如来像            同 右 二仏像 
 

 時間に余裕がありましたので、更に2.5km西の「雲性寺」に挑戦しました。
 新緑を愛でながら、「東大和公園」内を横断しました。

 
          公園案内板


 公園界隈のアップダウンのきつい住宅地を通り抜け、狭山三十三観音霊場18番札所「天王山観音院雲性寺」に辿り
 着きました。
 「山門」は、箱根本陣の一の門を移築した趣のある建造物です。


 
           観音堂                     本堂                  四面仏の石塔 
 
      宝篋印塔と5層石組の塔          大日如来像・地蔵菩薩像・六地蔵像              石仏・石像
 
          山門                   山門の石段下             同 拡大画像 青面金剛の庚申塔
                       馬頭観世音塔・青面金剛の庚申塔など


 東大和市駅へ戻る途中に出会った「高木神社」です。 風格がある立派なお社でした。
 昔、この神社で獅子舞が行われていたことで「獅子舞の青銅像」が設置されていました。
 境内には、安産を祈願する「塩釜神社」がありました。


 
       神社名碑と神明鳥居               拝殿                   獅子舞の青銅像 
 
          石碑の覆屋              同 山神と彫りのある石碑
 
       青面金剛の庚申塔               馬頭観世音碑 
 
         境内社 塩釜神社              同 神明型鳥居                同 社殿


 高木神社の境内社 塩釜神社の前に、いぼとり地蔵と言われる「松っこごれ地蔵の祠」がありました。
 この「松っこごれ地蔵像」は、松ぼっくりを首から胸に掛けていました。


 
         塩釜神社前の覆屋            同 松っこごれ地蔵像



 更に住宅街を進むと、家と家の間差に小さなお堂がありました。
 親狐がヤンチャな子狐を押えている微笑ましい狐の石造にお守りされています。


 
          お堂                 同 お稲荷さん
 
   

 雲性寺から東に3Km、新青梅街道に面し 東大和市旧跡で狭山三十三観音霊場16番札所「輪王山三光院真福寺」が
 ありました。
 新青梅街道に面した寺院ですが、境内は落ち着いて手入れの行き届いた庭園のようでした。
 境内には、中世の板碑群が配置されていました。

 
 
          寺院門碑               比較的新しい本堂              青銅の慈母観音像 
 
           観音堂                    子安大師像    
 
           中世の板碑群             同 南無阿弥陀仏板碑
                             応安二年(1369) 造立
 
         山神石碑              地蔵菩薩像・六地蔵像・水子地蔵像
 
 山門の左側には、「お砂踏み霊場の碑」を取り巻くかのように、如来・菩薩などの石仏が並びます。
 更に、院の横手に大理石の真新しい石仏が60数体整然と安置されていました。


 
 -------------------------------- お砂踏み霊場 ---------------------------------
 
 ------------------------------------------------------ お砂踏み霊場 ---------------------------------------------------
 
  不動明王立像・釈迦如来像・阿弥陀如来像・        同形の4体の千手観音像          地蔵菩薩の坐像と立像
 
       毘沙門天像と聖観音像          千手観音像と薬師如来像         十一面観音像 隣は虚空蔵菩


 西武多摩湖線武蔵大和駅を横目に見ながら、直ぐ近くの狭山三十三観音霊場14番札所「福聚山寶珠寺」に脚を延ばし
 ました。
 山門・社の類はなく、普通の民家といった感じです。
 東村山市指定有形民俗文化財で、市内で最も古い丸彫地蔵像の「延命地蔵立像」がありました。


 
         寺院門碑と本堂                延命地蔵像                  六地蔵像 
 
    石橋供養塔・青色金剛像の庚申塔          同 青色金剛像の庚申塔


 武蔵大和駅傍の沿線に「廻田稲荷神社」がありました。
 境内には、剥落し かろうじて「大六天」(人間の欲界六天のなかの最高天) と読める石碑が安置されていました。


 
          神明型の鳥居                社殿
 
         大六天の石碑                同 拡大画像


 駅舎までは緩やかなスロープになっており、重い足を奮い立たせながら14時に到着しました。


 
          武蔵大和駅


 行程の多くは市街地・住宅街を縫って歩く感じでしたが、所々に八国山・北山公園・狭山公園などの緑地があり変化に
 富んだ格好のコースで、充分ウォーキング気分を満喫することができました。
 当初は3時間程度の計画を組んでいましたが、薄曇りの絶好なウォーキング日和りに、つい「雲性寺」まで足を伸ば
 、1時間余りを超過してしまいました。
 今回に味を占め、次回も武蔵野の観音さまを巡る企画を立てたいと思います。