隅田川七福神巡り

 正月に墓参りのついでに、川越の七福神の幾つかを巡り、今度は本格的に七福神巡りをと思い立ちました。
 友人から建設中の「東京スカイツリー」の話を聞いていて、直ぐに「隅田川七福神」巡りの構想ができました。
 東京都の隅田川東岸にある「隅田川七福神巡り」は江戸時代から続いていて、七福神詣の元祖とされています
 。
 この為、まだ1月ということもあり七福神ツアーの団体とバッティングし混雑することも予想されます。


 西武池袋線−JR山手線−東京メトロ千代田線−東武伊勢崎線と乗り継いで、東武伊勢崎線鐘ヶ淵駅東口に着いたの
 は10時10分でした。


 
           鐘ヶ淵駅東口        


 踏切を渡り200m余り進むと、赤門寺とも呼ばれている「醍醐山円徳寺」がありました。
 境内左の一角に、墨田区の指定文化財で三猿を彫った台座に舟形光背を持つ「阿弥陀如来像の庚申塔」があります。


 
          寺院門碑と山門                宝篋印塔                    本堂     
 
         萬霊塔の一角             同 阿弥陀如来像の庚申塔               同 地蔵菩薩像 
                            寛文十二年(1672) 造立
 
          同 左側の石仏              同 右側の石仏              梵字が彫られた水鉢   


 七福神巡りツアーの団体について北へ450m進むと、七福神の毘沙門天を祀る「隅田山吉祥院多聞寺」に着きまし
 た。
 参道の右側に、「弘法大師像」と「子育て地蔵像・阿弥陀如来像」を祀る小舎があります。
 舎内の「庚申阿弥陀如来石像」は、墨田区指定文化財になっています。

 
        参道と寺院門碑  
 
         石仏を祀る小舎                同 弘法大師像            同 左) 子育て地蔵尊        
                                                 右) 阿弥陀如来像
                                                    寛文四年(1664)造立
 
       参道の傍らに石仏群
 
       同 左) 馬頭観音像                同 二基の三猿の庚申塔           同 二基の青面金剛像の庚申塔
          明和八年(1771) 造立       
       中) 地蔵菩薩像
          延宝八年(1680) 造立

 参道の先に、墨田区指定文化財で江戸中期に造られた墨田区最古の建造物茅葺の四脚門「山門」があります。
 山門の前には、榎本武揚による「毘沙門天の石碑」があります。
 山門を潜ると左側が、「狸塚」の一角で狸の石造・石碑が配置されています。
 右手には、珍しい坐像の墨田区登録文化財「六地蔵菩薩坐像」が並んでいます。


 
          山門                  毘沙門天の石碑                狸像と狸塚 
      明和九年(1772) 造立
 
         狸塚の石碑              座位六地蔵像                  本堂
                        正徳二年(1712)〜享保三年(1718)  
 
          狸像                   平和観音像                焼香場
正徳二年(1712)〜享保三年(1718) 造立    
 
          板碑                不動明王の石碑と石像                石仏群
 
        三基の石造 
 
         同 宝篋印塔                 同 宝塔             同 弘法大師一千五十年忌碑
 

 多聞寺をUターンして南へ戻る途中、小さな神社に出会いました。

     
 
         明神型鳥居               敷地内の石門と水蜂               お稲荷様
 

 墨堤通りに沿った道を南へ550mほど進むと、住宅に隠れて区内で数少ない尼寺「成林庵」がありました。

 
         寺院門碑               青銅の観世音菩薩像              同 拡大画像
 
         神明型鳥居                 社殿                  猿を彫った水鉢


 更に100mほどで、通称「ねこ寺」と呼ばれる「月光山薬王院正福寺」にでます。
 境内の右側には、総高176cm 舟形光背の「阿弥陀如来像」都内最古の在銘を持ちかつ墨田区随一の大きさの「板碑
 」等が配置されています。
 本堂の脇に、七福神の一寿老人像が置かれていました。


 
         寺院門碑                  本堂                 寿老人像
 
          阿弥陀如来像                 板碑                 碑身のみの板碑  
       明治四年(1661) 造立            宝治二年(1248) 造立
 
           大師堂                  同 弘法大師像

 門前の道路に面して、首から上の病に功験があると謂われる「首塚地蔵堂」があり沢山の地蔵像が安置されていまし
 た。

 
         首塚地蔵堂                  同 地蔵群                同 首塚地蔵像


 墨堤通りに出て、公園を遮るように建つ東白髭第二マンションを北へ大きく迂回し、隅田川とマンションに囲まれて
 南北に細長い東白髭公園に入りました。


 
            東白髭公園          


 正福寺より650mで、隅田川沿いに走る首都高速道路を背に建つ「梅柳山墨田院木母寺」があります。
 大きなガラス張り (防災のため) の「梅若堂覆堂」が印象的でした。
 梅若堂を取り巻き、謡曲「隅田川」によって能や歌舞伎で広く知られている旧跡「梅若塚」都内随一といわれる巨碑
 「天下之意糸平碑」落語の三遊派の記念碑「三遊塚」「浄瑠璃塚」「身代り地蔵」等が配置されています。


 
       門前の梅若塚の石碑             寺院門碑と本堂                三遊塚
 
         梅若念仏堂                同 菩薩像                梅若塚
 
          身代り地蔵                 同 拡大画像              都内第一という巨碑 
 
           浄瑠璃塚                 へび観音像                 同 拡大画像
 

 東白髭公園を南に200m進むと、隅田川の総鎮守で水神社と呼ばれてる「隅田川神社」にでます。
 拝殿前には、狛犬ではなく珍しく「耳のある亀像」が左右に配置されています。
 昔からこの神社は河川交通の要衝にあり、象徴として亀が神使とされためと思われます。


 
        明神型一之鳥居               明神型二之鳥居               水神宮の石碑 
 
          百度拝参標石               拝殿前 石灯篭               拝殿前 左の石亀 
 
        拝殿前 右の石亀                拝殿
 
   境内社 若宮八幡神社・三財稲荷神社         同 社殿前のお稲荷様
 
      境内社 天神社・金神社              同 金神社の石碑 
 
        二つの小社                 同 右の小社内亀神像 
 
          力石 鶴力                 力石 さし石

 墨堤通りに、隅田川参道の道標と関連の石碑が配置されています。

 
        聡霊社/水神社の石碑               水神道の石碑                明神型鳥居


 墨堤通りを南下していると、七福神巡りの幾つものグループに出会いました。

 
          墨堤通り                 白髭橋東詰交差点


 1,000mほどで、戦国時代開創という墨田区内でも古い寺院「晴河山法泉寺」に着きました。
 境内には、墨田区登録文化財の「板碑8基」「銅造地蔵菩薩立像」「石造地蔵菩薩立像」が安置されています。


 
          山門                    本堂                  手水鉢
 
        青銅の延命地蔵像              同 拡大画像                    石塔
       享保二年(1717) 造立
 
        子育て地蔵像             宝塔・法華経一千部供養塔               地蔵菩薩像
                                                寛文二年(1662) 造立
 
         石仏・石碑 
 
           同 石仏               同 熊野三社権現の石碑          同 熊野三社権現の石碑 
 
         石仏群 
 
        同 左の四体の石仏             同 中央の六地蔵像             同 右の四体の石仏
          左端 地蔵菩薩像                                  左三番目 如意輪観音像
          寛保三年(1743) 造立                                享保十五年(1730) 造立
 
         地蔵菩薩像の庚申塔              同 三猿部拡大画像  


 墨堤通りのこの辺りに来ると、2011年12月完成予定の東京スカイツリーが見え始めてきます。

 
     白髭神社はこの信号を左へ        ビルの上に東京スカイツリーが    
 

 法泉寺から150mで、七福神の寿老神を祀る「白髭神社」です。
 正式には寿老人ですが、隅田川七福神に限り白髭明神をこれにあてたことから「寿老神」と書くのだそうです。
 境内ではボーイスカート団の餅つき大会が行われており、七福神巡りの人々と相俟って大変な賑わいでした。
 丁度小腹が空いたので、辛み餅を頂きました。
 「黒人塚」とあるのをみてハテと思いましたが、狂歌師浜辺黒人の塚だそうです。
 拝殿前の「狛犬一対」は、墨田区指定文化財に登録されています。


 
         明神型鳥居                水舎  
 
           拝殿               拝殿前 和風獅子型狛犬
                             文化三年(1806) 造立
 
         境内社 諏訪社            同 線彫り地蔵像の石碑 
 
         境内社 三峰社・水神社           白髭大神の石碑
 
           黒人塚                     筆塚                南側の明神型鳥居


 案内板に従い150m進むと、隅田川七福神詣発祥の地で七福神の福禄寿を祀る「向島百花園」にでます。
 ここでは団体さんとは別途に入場料150円を支払い、園内に入りました。
 入って直ぐ左側に、「多賀神社」が祀られています。
 更にその奥には、ひっそりと「福禄寿尊堂」があります。


 
         向島百花園                団体さんを待って入場             多賀神社
 
          福禄寿尊堂                  福禄寿の石碑


 混み合う向島百花園を早々に退場し200m先の墨堤通りに向うと、交差点の一角に「向島子育て地蔵尊」があり狭
 い境内に石仏が林立していました。
 この小堂に祀られている「子育て地蔵」は、 文化年間 (1804〜1817) に隅田川の堤防修築工事の際 土中から発見
 されたと伝えられています。


 
      向島子育て地蔵尊の一角            子育て地蔵尊の名碑               題目塔 
 
        庚申塔の石碑                社殿                   同 地蔵像   
 
 ------------------------------------------------------ 境内の石仏 -----------------------------------------------------
 
 ------------------------------------------------------ 境内の石仏 -----------------------------------------------------
 
      三体の青面金剛像の庚申塔            同 左の庚申塔              同 右二体の庚申塔

 
 墨堤通りをひたすら歩み、二又の交差点墨田区少年野球場前に突き当たりました。
 ここで墨堤通りと別れ、長命寺・弘福寺・三囲神社が並ぶ左側の路を進みます。
 この通りは「向島花街」という言葉があるとおりそれらしい雰囲気に満ちた家並みが見られます。


 
           墨堤通り               墨田区少年野球場前交差点        長命寺・弘福寺・三囲神社が並ぶ道


 向島子育て地蔵尊から650mで、七福神の弁才天を祀る「宝樹山遍照院長命寺」に到着しました。
 境内には、墨田区登録文化財の「
地蔵菩薩像の庚申塔」が安置されています。
 関東風の桜餅発祥の地とされる「長命寺桜餅」が名物と聞き、早速寺院裏手隅田川沿いの店を伺いましたが、七福神
 巡りツアー客で溢れて店の外まで行列をなしていました。


 
         寺院門碑                   本堂                  弁才天の石碑 
 
         傳教大師童像               手水鉢                地蔵菩薩像 
 
           六助塚                 長命水の水舎               宝篋印塔 
 
        元三大師の石碑              宝篋印塔                 地蔵菩薩像  
 
       地蔵菩薩像の庚申塔            青面金剛像の庚申塔              五輪塔 
        万治二年(1659) 造立             寛永三年(1626) 造立


 40mほど先言問幼稚園を挟んで、七福神の布袋尊を祀る「牛頭山弘福寺」があります。
 本堂である二層構造の墨田区登録文化財「大雄宝殿」は、黄檗宗特有の唐風の特徴を持つ中国明様式です。
 境内右手の小祠には「爺婆尊の石像」が祀られていて、爺像は喉頭の病・婆像は咳止めの神として風邪除けの信仰を
 集めています。
 境内の端にある鐘楼の「梵鐘」は、墨田区指定文化財に登録されています。


 
        寺院門碑と山門               布袋尊の石碑 
 
          爺婆尊の小祠               同 爺婆尊の石像              大雄宝殿 (本堂) 
 
          亀趺円頭墓碑                   鐘楼                    同 梵鐘
                                                貞享五年(1688) 造立
 
 ------------------------------------------------------ 境内の石仏 -----------------------------------------------------
 
        境内の石仏群              青銅の大日如来像              亀像の上に手水鉢


 340m直進すると、文和年間(1352-56)に創建された墨東の古刹 七福神の恵比寿・大黒神を祀る「三囲神社」で
 す。
 三囲神社には三の縁が強いようで「三柱鳥居」と「三つ穴灯篭」があり、更に三井グループの守り神で元旦には三井
 グループの社長が集まるという噂があります。
 昨年10月下旬に、5月に閉店したばかりの池袋三越から三越のトレードマーク「ライオン像」が設置されていまし
 た。
 社殿の裏にある「三柱鳥居」は、2008年5月に訪れた京都「蚕の杜」のものと瓜二つの鳥居でした。
 灯篭の火袋に三日月の穴があいているのは普通ですが、∴のような三つの穴があいている灯篭は珍しいです。
 また、拝殿前の「獅子型狛犬」と「狐型狛犬」は墨田区登録文化財です。


 
         寺院門碑               神明型一之鳥居               神明型二之鳥居  
 
        参道の三つ穴灯篭             拝殿前 三つ穴灯篭              同 拡大画像
                              寛保三年(1743) 造立
 
        和風獅子型狛犬              三越の礎石           三越から移設された青銅のライオン像
       延享二年(1745) 造立
 
        拝殿前 狐型狛犬                  拝殿       
     享和二年(1802) 造立
 
           水舎                   同 手水鉢

 社殿を取り巻くように、七福神を祀る「恵比寿・大国神社」のほかいくつもの境内社が並んでいます。
 東参道の門をくぐって隅田川に出ると、墨田区登録文化財の「堤下の大鳥居」がありました。
 参道には、「三囲稲荷大明神」の石碑・道標があり、右側には「右秋葉道」・左側には「左稲荷社」と陰刻されてい
 ます。


 
       富士見稲荷社 神明型鳥居              同 社殿 
 
      三井家を祀る顕名霊社                同 狛犬
 
    隅田川側の神社名碑と明神型鳥居          隅田川に出る東参道の門          三囲神社大明神の石碑・道標
      文久二年(1862) 造立                                  宝永三年(1707) 造立
 
      三柱鳥居 (三角石鳥居)              三柱の手水舎 
 
       水神社 神明型鳥居                 同 社殿
 
       白狐祠 明神型鳥居               同 明神型鳥居  
 
          同 老翁老嫗像              同 拡大画像
       元禄十四年(1707) 造立
 
         同 社殿                同 左右のお稲荷様
 
      福寿稲荷社 神明型鳥居                同 社殿               同 社殿前のお稲荷様
 
       広富稲荷社 朱の鳥居               同 社殿               同 社殿前のお稲荷様
 
     恵比寿・大国神社 明神型鳥居              同 社殿             同 社殿前の和風獅子型狛犬


 言問橋東交差点からは、500m先の高さ634m世界一の自立式電波塔の高さを目指す「東京スカイツリー」がよく
 見えます。
 2010年1月現在の高さは、約254mだそうです。


 
        言問橋東交差点           同所からの 東京スカイツリー


 三囲神社から250mで、本所牛嶋の総鎮守社「牛嶋神社」です。
 水戸街道に面した東側参道から入ると直に、食肉になった牛を慰霊する「包丁塚」があります。
 本殿前の鳥居は、全国でも数少ない中央の鳥居の左右に小さい鳥居の付いた木製の「三輪鳥居」です。
 西側参道の「石造鳥居」は、墨田区指定文化財に登録されています。
 東都随一といわれる総桧権現造りの「拝殿」前には、「獅子山・宝珠を載せた二組の狛犬」と並んで左右一対の
 墨田区登録文化財の「神牛 (狛牛) 」が配置されています。
 拝殿前に配置された「3対の狛犬」は、いずれも墨田区指定文化財に登録されています。
 拝殿の右側には、心身回癒祈願の墨田区登録文化財「撫で牛」があり、大勢の団体ツアー客が去った後10分以上も
 色々な部分を撫でている方がいらっしゃいました。


 
        東側参道 神明型鳥居              東側参道 石灯篭              包丁塚に青銅の牛像 
 
          和風獅子型狛犬             富士山の石碑                  石灯篭
        昭和七年(1932) 造立                                文化八年(1811) 造立
 
          手水舎                  和風獅子型狛犬
                           文化八年(1811) 造立
 
                獅子山 左右一対の狛犬  
                 文政十年(1827) 造立 
 
         珍しい狛牛像                和風獅子型狛犬
       安政六年(1859) 造立             享保十四年(1729) 造立
 
        珍しい三輪鳥居              本堂前 石灯篭                  本堂    
 
    境内社 小梅稲荷神社 神明型鳥居             同 社殿  
 
         青銅の撫で牛                同 拡大画像
       文政八年(1825) 造立
 
       南側参道 明神型鳥居           西側参道 神社名碑と明神型鳥居
                           文久二年(1862) 造立


 隅田川に架かる言問橋を渡り、浅草方面に向かいます。

 
          隅田川               言問橋からの東京スカイツリー


 言問橋を渡った直ぐの言問橋西交差点を左折し、江戸通り (国道6号線) を南へ向かいます。
 牛嶋神社から650mで、今回の終点浅草駅に到着です。 14時丁度、3時間50分の行程でした。


 
          江戸通り                  浅草駅北口



 今回は5.6Kmの工程でしたが、円徳寺・法泉寺・長命寺の「地蔵菩薩像の庚申塔」成林庵の「猿が彫られた水鉢」
 木母寺の「へび観音像」隅田川神社の「耳のある亀像」弘福寺の「爺婆尊の石像」三囲神社の「三つ穴灯篭・狐型
 狛犬・老翁老嫗像」牛嶋神社の「三輪鳥居・狛牛」など珍しい造形物を鑑賞でき大満足でした。
 白髭神社辺りから言問橋まで、見飽きることがなかった東京スカイツリーの景観も印象深いものでした。