中野石仏巡り(中野区沼袋・新井地区)

歴史的にみれば “東京の二分化” は 、太田道灌と豊島泰経との間で行われた「江古田・沼袋原の戦い」で豊島側が敗退したことで終結し、東京は一つになったとされています。
その為か否か、沼田地区には寺院が多く集まっています。
コロナ禍のため遅れた新井薬師への初詣と合わせ、2021年最初の巡拝計画を立てました。


9時丁度に、西武新宿線の地下化工事が進められている沼袋駅北口に下り立ちました。


        沼袋駅北口              駅前通りを西へ              突き当りを北へ

        寿司屋の角を左折              山門が見える


沼袋駅から250mで、豊島八十八ヶ所霊場74番札所「如意山実相院世尊寺」に着きました。
山門をくぐり境内に入ると、左右に数多くの石仏などが配置されています。


           山門                 寺院名碑               境内左側の石仏等

        同 五輪塔               同 如意輪観音像             同 如意輪観音像
      享保十二年(1728) 造立           元禄四年(1691) 造立          天明二年(1782.) 造立

       同 如意輪観音像             同 聖観音菩薩立像             同 馬頭観世音の石碑  
      寛保元年(1741) 造立          享保十六年(1731) 造立          大正十三年(1924) 造立

       同 大日如来坐像             同 大日如来坐像               同 大日如来坐像
      宝永七年(1710) 造立            享保二年(1717) 造立           元禄十五年(1702 ) 造立

        同 石灯籠              境内左側の石塔・石仏            同 二基の供養塔 

         同 宝篋印塔              同 十一面観音像              同 青銅の弘法大師像


        境内右側の石仏等              同 如意輪観音                 同 五輪塔
                            寛保九年(1749) 造立

       同 地蔵菩薩立像           .    同 石灯籠                   本堂
      天和二年(1682) 造立

本堂左側の墓地入口に、左側 北向きに五基の庚申塔等、右側 南向きに十基の石仏・庚申塔が配置されています。


        左側の石塔            同 三猿の庚申塔・勢至菩薩立像         同 三基の青面金剛像の庚申塔
                      寛文九年(1669)・元文3(1738) 造立 正徳三年(1713)・元禄十年(1697)・元禄十年(1697)造立

      右側の石仏・石塔           同 剥落が進む不動明王立像              同 六地蔵像
                                                 慶応二年(1866) 造立

      同 青面金剛像の庚申塔           同 大日如来坐像
      元禄十四年(1701) 造立
          正徳五年(1715) 造立


通りに戻り北に進み、直ぐの角を右折します。
角の側面にに百観音明治寺への案内板があり、その先に大きな朱の鳥居が見えます。
道路いっぱいに立ちはかだる大鳥居をくぐり更に進むと、沢山の幟が見えます。


       ビルの角を右折する             鳥居が見える


実相院から100mの処に、「大岡稲荷神社」がありました。
正面に周って見ると、住宅の横に無理やり建てたような感じの一角でした。
大きな立派な鳥居に比し、こじんまりした神社です。


         明神型鳥居                 住宅の一角                明神型鳥居

          手水鉢                    社殿


また通りに戻り、北へ進みます。
沼袋交差点手前の角を左折します。
しばらく進むと突き当りの角に、小堂の屋根が見えます。


        通りを北へ進む        交差点手前のおにぎり屋の角を左折         小堂の屋根が見える


大岡稲荷神社から300mで、「沼袋四丁目の庚申塔」を見つけました。
コンクリート製の小堂には、「青面金剛像の庚申塔」が安置されています。
庚申塔は道しるべになっていたようで、右側面には「右 中村道」.左側面には「左 さぎのみや」と陰刻が見れます。


     コンクリート製の小堂           青面金剛像の庚申塔             同 拡大画像
                          正徳三年(1713) 造立



通りに戻り少し進むと、ビルの間の奥に延命地蔵が安置されていました。


       ビルの間の奥を見ると


庚申塔から150m、沼袋四丁目の身代延命地蔵尊」別名 マンション地蔵 を見つけました。
「江古田ヶ原沼袋の合戦」による戦死者の鎮魂のために、地元の人たちにより建てられたといわれています。



       ビルの間に小堂             延命地蔵尊の小堂              手水鉢

   馬頭尊碑と慈郎稲荷大明神の石碑         身代延命地蔵尊               . 同 拡大画像


マンション地蔵の道路を挟んで向かい側に「丸山塚公園」があります。
「丸山塚」という名が冠されていますが、公園内は整地されていて塚らしき痕跡は残されていないようです。
しかし、その南西隅に「江古田ヶ原沼袋の合戦」の犠牲者を祀ったとされる「豊島二百柱社」がありました。


        丸山塚公園               園内には塚がない             園内の片隅に石祠・石柱

    豊玉二百柱社と刻まれた標柱             石祠



通りを南に戻り、百観音明治寺を目指します。
実相院の角を、逆方向に左折します。
道なりに東へ進みますが、場所がわからずウロウロしているうちに禅定院の山門に出会いました。


         次の角を左折           道なりに進むと山門が見える


丸山塚公園から250mで、 御府内八十八ヵ所霊場48番及び豊島八十八ヵ所霊場48番札所の「瑠璃光山禅定院薬王寺」に着きました。
山門手前の左側には「鬼瓦のモニュメント」「弘法大師碑」、右側には「寺院名碑」が配置されています。


           山門               大きな鬼瓦のモニュメント            弘法大師碑 

           寺院名碑

山門をくぐると、右手に「六地蔵像」「文字念仏塔」「地蔵菩薩像」「三猿の庚申塔」などが配置されています。
正面の「本堂」前には、「青銅の弘法大師像」「供養霊廟」が並んでいます。
本堂のの左側には牡丹園があり、その一角に弁財天・大黒天・毘沙門天が安置されている「弁天堂」があります。


         境内の右側                六地蔵の覆屋                同 六地蔵像

        境内の右側続き                 同 文字念仏塔              同 地蔵菩薩像

    同 不動明王の石碑・三猿の庚申塔            境内中央 宝塔                石灯籠

           本堂              本堂手前 弘法大師像・供養霊廟         同 青銅の弘法大師像

         同 水子地蔵像               同 聖観音菩薩像                石灯篭

         牡丹園と蓮池               弁天堂                   同 社殿


道を引き返し右手を見ると、遠目に寺院門が見えます。
来る時には、工事の車が何台も止まっていて目隠しになっていたようです。
軽い上りの坂を進みます。


         道を引き返す          .  右手の道の先に寺院門


禅定院から100m、東京三十三観音霊場20番札所「新浮侘落山世尊院明治寺別称 百観音明治寺 に着きました。
百観音明治寺は、西国三十三観音・坂東三十三観音・秩父三十三観音の写し霊場です。
現在は、番外も含めて百八十体ほどの観音石仏があるといわれています。


                              境内Map


参道の右側は、「百観音公園」として開放されています。
参道の正面に「大香炉」があり、その左側に近代的な「本堂」と陽に映える「多宝塔」が見えます。
公園内には、無造作に板碑と手水鉢が置かれていました。



          寺院門               参道の右側は百観音公園               大香炉

     公園内 板碑と手水鉢               本堂                多宝塔(
永代供養塔)

百観音写し霊場は柵囲いになっていて中には自由に入れますが、撮影は禁止されているので柵の外から一部だけ撮らせていただました。
石仏愛好家の私にとっては、至福のひと時となりました。


        霊場の左側から -----------------------------------------------------------------------------------------

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-----------------------------------------------------------------------------------------------→ 霊場の右端

  (一部をピックアップ) 魚籃観音菩薩像         同 不動明王像              同 聖観音菩薩像

        同 千手観音菩薩像            同 聖観音菩薩像              同 水月観音菩薩像

公園の東側は、墓地になっています。


           霊廟                  その右脇 合祀塚             同 聖観音菩薩像

          歴代住職墓地              ゛ 同 歴代住職の墓             同 薬師観音菩薩像

         同 地蔵菩薩像               同 五層の石塔



霊場柵と墓地の間の小路を行くと、正面に寺院門が見えます。


         正面に寺院門


百観音明治寺の北側に道を挟んで、 御府内八十八ヵ所霊場41番札所「十善山密蔵院蓮花寺」がありました。
小さなお寺ですが、黒い冠木門が品格を感じさせます。


         質素な冠木門                本堂                  石灯篭

        地蔵菩薩像               寿老人像(?)


密蔵院前の塀沿いに西へ進むと、百観音明治寺の北門に出ました。
正門(南門)から半周回った形です。


        塀沿いに進む             百観音明治寺の北門に出た



境内入って右手に、 子供の守護神「玉井稲荷神社」がありました。
百観音明治寺の創設者・草野栄照尼が出身地である埼玉県玉井村の稲荷大明神を大正期に勤請したものです。


          玉井稲荷神社               明神型鳥居                手水鉢

          一対の神狐像                  社殿                 社殿横に祠


来た道を戻り、更に東へと進みます。
寺院門が見えてきました。


       寺院門が見える



玉井稲荷神社から150mで、「法光山久成寺」に着きました。
入口右側に日蓮宗のお題目である「南無妙法蓮華経」と刻まれた石碑があります
入り口直ぐの「本堂」は、樹木に覆われた一軒家に見えます



          寺院門                   題目塔                  本堂



久成寺の角を左折し北へ向かうと、寺院門が見えます。


        久成寺の角を左折           右手に寺院門が見える



久成寺から100mで、徳川家康開基の「永康山東正院貞源寺」に着きました。
境内には、昭和16年に鉄道事故で亡くなった幼稚園児を悼み作られた「法悦地蔵尊」が安置されています。
また墓所には、幕末の隻腕剣士「伊庭八郎の墓」がありました。


          寺院門                  本堂                 石仏達

      法悦地蔵尊の一角              同 阿弥陀如来像             同 法悦地蔵菩薩像

        同 石灯籠                 立て膝地蔵像                伊庭八郎の墓



変則的な道を北へ北へと進むと、西武新宿線の線路に出ます。
線路沿いに西へ向かうと、神社の正面に出ます。


     沼袋二丁目の変則五差路         沼袋一丁目の変則四差路           神社の東側駐車場

    突当りに西武線の線路が見える        線路沿いに進むと神社


貞源寺から600mで、太田道灌が「江古田沼袋原の戦い」の際に陣営を置き戦勝祈願をした「中野沼袋氷川神社」に着きました。


                    境内Map


表参道の「一之鳥居 O」をくぐり石段を上れば、正面に「拝殿 @」があり、左手に「神楽殿 I」右手に「手水舎 K」があります。
参道の狛犬は、右側の阿が子持ちの狛犬となっている事から「子育て狛犬 L」と呼ばれているとのこと。
参道に茅の輪が設置されていましたので、無病息災を祈念し作法通りに8の字に3回くぐらせていただきました。


    神明型一之鳥居と神社名碑              参道の石段              一対の石灯籠

       明神型二之鳥居                更に石段         一対の宗風獅子型狛犬(右側 子育て狛犬)
      文久四年(1864) 造立

         神楽殿                 手水舎                  同 手水鉢

         茅の輪                  拝殿                  本殿

また「二之鳥居」の左手に、中野区内で唯一福の神が一堂に会した「中野七福神 J」があります。
左側吽の狛犬の辺りに、道灌ゆかりの「道灌杉 N」の遺構(枯れた杉の根株のかけら)が保存されていました。

手水舎の後ろには「力石 M」が配置されていました。


   二之鳥居脇に七福神への招き猫像        招く先に中野七福神

--------------------------------- 中野七福神 ---------------------------------

         道灌杉の遺構                七個の力石


社殿の左手に、境内社「御嶽神社 F」「稲荷神社 E」「天王社(八雲神社・諏訪神社・胡録神社が合祀) D」の三社が配置されています。
その隣には、西側参道の「大鳥居 H」が聳えています。


        境内社三社

     同 御嶽神社 神明型鳥居              同 社殿

     同 稲荷神社 神明型鳥居              同 社殿

     同 天王社 神明型鳥居               同 社殿

     西側参道 明神型鳥居


西武新宿線の線路沿いに東へ進み、直ぐの踏切を渡り南へ向かいます。
妙正寺川に架かる薬師橋を渡り、更に南へ進みます。
突き当りの中野通り(都道420号線)を右折し、南西に向かいます。
新井薬師公園の先に鳥居が見えます。


       線路沿いに東へ               踏切りを渡る                薬師橋をわたる

       中野通りに出る           中野史跡めぐりの標柱          新井薬師公園 ひょうたん池

         鳥居が見える



中野沼袋氷川神社から550mで、新井一円の総鎮守「新井天神北野神社」に着きました。
表参道の大鳥居をくぐり参道を行くと、境内の左側に特徴的な「手水舎」病気平癒・諸願成就祈願の「撫で牛」及び四ツ目垣に囲まれて中野区登録文化財の十三個の「力石」が配置されています。
そして正面には、新築なった流造りの「拝殿」が陽に映えています。
境内の右側には「神楽殿」があり、その隣は東側参道の石段と鳥居が見えます。


       明神型鳥居と神社名碑              境内                和風獅子型狛犬

         手水舎                  同 手水鉢                撫で牛像

     四ツ目垣の中 十三個の力石        同 手前 最重量の七十貫目石            五層の石塔


     拝殿前 宗風獅子型狛犬             新築の拝殿

         神楽殿              東側参道の石段と鳥居

拝殿の左側には、境内社の毎年11月の酉の日に酉の市が開催されている「大鳥神社」及び「寶樹稲荷神社」「津島神社」が並んでいます。


           大鳥神社

         寶樹稲荷神社             同 朱の神明型鳥居群            同 寶樹稲荷社の碑

        同 神狐像                 同 社殿

          津島神社                 同 社殿


中野通りを渡り、新井薬師公園を通り抜けると、新井薬師の北側に出ます。

.
    新井薬師公園を通り抜ける           新井薬師の北側


新井天神から100m、御府内八十八ケ所霊場第71番札所で中野区最大の寺院「新井山梅照院薬王寺」通称 新井薬師 に出ます。
「高尾山薬王院・日向薬師・峰の薬師」とともに武相四大薬師に数えられています。
当院は、徳川二代将軍秀忠の子 和子の方が失明した時、当薬師如来に祈願して治癒したことから、「治眼薬師」とも呼ばれています。


                        境内Map


新井薬師の北側は拝殿の裏側にあたり、「大悲殿」「聖徳太子像」などが配置されています。
「大悲殿」の一角には、倶利伽羅剣の龍の口から注ぐ湧き水「白竜権現水」があります。
新井薬師公園のひょうたん池も、かつては修行僧が身を清める水垢離場だったそうです。


          大悲殿                同 白竜権現水の一角     同 一対の倶利伽羅剣の龍の口から注ぐ湧き水

        聖徳太子像                 同 拡大画像                一対の天水桶

      西塀沿い 石灯籠               同 富士講の石碑           同 観音菩薩像・薬師如来像


南側の表参道に回り、参拝をしたいと思います。
新井薬師入口の右横に、小さな「豊川稲荷社」が祀られていました。


        豊川稲荷社                同 社殿


通りに面した表参道の入口には、「寺院名碑」と「新井薬師の石碑」が建っています。
渋い山門の右横には、「二基の石灯籠」と「本堂再営供養塔」が配置されていました。


          寺院名碑                新井薬師の石碑

           山門                  山門の右横               同 二基の石灯籠

         同 本堂再営供養塔               同 引導地蔵尊
                           安永八年(1779) 造立


山門をくぐると左側に「薬師霊堂」が聳え、その左手に「弘法大師像」と「聖観世音菩薩像」が並び右手に「昇り龍の彫り物の石灯籠」配置されています。
右側には「不動堂」が建ち、その左手に「水子地蔵像」が右手に「お願い地蔵尊」が控えています。「お願い地蔵尊」は、柄杓で水をかけ、置いてあるスポンジで自身の治したい場所をこすりながら治癒を祈願します。私も最近緑内障の気が出てきましたので、念入りにお参りをしました。
更にその先には、蓮の手水鉢の「手水舎」が並んでいます。
そして正面の香炉台の先の「拝殿」で、初詣を済ませました。
手水舎の裏側に「鐘楼」、更に柵の向こうに「十三層の石塔」と「五層の石塔」が見えました。


         薬師霊堂              同 青銅の弘法大師像             同 聖観世音菩薩像

      同 昇り龍が掘られた石灯篭           薬師霊堂の左側一角              同 弘法大師の石碑

         同 百度石碑             同 大山阿夫利神社の石碑

        不動堂               同 左手 水子地蔵像            同 右手 お願い地蔵尊

        手水舎                  同 蓮の手水鉢

          一対の石灯籠            大香炉と本堂(瑠璃殿)            同 香炉脚部の獅子
                         安永八年(1779) 造立

          鐘楼                   同 撞鐘

        十三層の石塔                五層の石塔


参道左側西門の右側に、「六地蔵像」「無縁仏」など石仏群がありました。


      西門当たりの石仏群               六地蔵像                   無縁仏

         石仏群               同 青面金剛像の庚申塔              板碑


新井薬師の北門を出て、中野通りを南西に進みます。
新井五差路交叉点を右折し、新井天神通りを北西に向かいます。
平和の森公園で、平和公園通りとの交叉点を右折し北上します。
妙正寺川に架かる新道橋を渡ると、西武新宿線の線路が見えてきます。
新井薬師から750m 踏切脇の沼袋駅南口に着いたのは、12時30分を過ぎていました。

             新井五差路交叉点             新井天神通り              平和公園通りの交叉点

     妙正寺川に架かる新道橋               西武新宿線                 沼袋駅南口



正月を外しましたので、3蜜を避けた初詣ができました。
特に「百観音明治寺」の写し霊場は、秩父三十三観音霊場を巡っているだけに時間をかけて拝観したかったと思います。
「中野沼袋氷川神社」では、茅の輪くぐりをし正月気分を味わいましたました。
「新井天神北野神社」では、新築なった拝殿で心新たに厄除け祈願をしました。
「新井薬師」のお願い地蔵尊に緑内障治癒の祈願をしましたが、お賽銭を入れ忘れたので効用があるのやら。

新春のうららかな陽ざしを受け、3,400mほどのウォーキングは心地よいものでした。