四国寺院巡り

定年後10数年継続している会社同期旅行、今年は四国4県をレンタカーで周りました。
9月27日から29日2泊3日の旅です。
岡山集合でレンタカーに分乗し、瀬戸大橋~香川県~徳島県~高知県~愛媛県~瀬戸しまなみ海道を巡りました。
その中で四国八十八ヶ所霊場第51番札所「石手寺」など数箇所の寺院を巡りましたので、印象に残った石仏などを記録します。

6:00 「熊野山虚空蔵院石手寺

伊予松山道後温泉に宿泊した翌朝、団体旅行なので趣味を果たすためには早朝行動しなければなりません。
レンタカーで、四国霊場では随一ともいえる文化財保有の四国八十八ヶ所霊場第51番札所「熊野山虚空蔵院石手寺」に詣でました。 
早朝の光線の強さで撮影が儘なりませんが、肉眼では充分観賞できました。


                   境内Map


国道317号に面して、用水路を挟み寺院名碑が立っていました。
金色に輝く弘法大師像に導かれ境内に入ると、用水路の石橋の横に「渡らずの橋」があります。
この橋は、弘法大師が架けたと伝えられ歩くと足が腐ると云われているそうです。
橋の上には小さな石仏が並んでいて渡りたくとも渡れません。
二之門の脇に「懐古壱予望楼」・「天照皇大神」と書かれた高い櫓が建っていて、中にトーテンポールのような木彫りの彫刻が数体おいてありました。
その前に、遍路の元祖である「衛門三郎の石碑と石像」がありました。
更にその周りには、ガラスケースに「仏陀の像」とか、青銅の二体の観音(「騎龍観音像」と「魚籃観音像」(「倭勝鬘/ えひめ」の名称板あり))が配置されていました。
門前とはいえ、調和の取れない世界が醸し出されています。



       国道沿いに狛犬              寺院門碑 

  二之門に向かって立つ弘法大師像        「お道ひらきの橋」の石碑           太鼓橋(渡らずの橋)

       懐古壱予望楼                同 拡大画像

    衛門三郎の石碑と衛門三郎像           同 拡大画像

    ガラスケースに仏陀の像             同 拡大画像

       騎龍観音像              岩に乗った魚籃観音像             同 拡大画像

      青銅の弘法大師像              おばけ灯篭

「二之門」をくぐり、屋根付きの回廊のある石畳参道を行きます
参道には、仲見世のように土産店が並んでいました。(時間的に閉まっていましたが…)



        門前の風景               二之門                 回廊側から二之門

      回廊のある石畳参道          売店横に韓国文官石像

回廊を抜けると「仁王門」が現れますが、右側に石手寺塔頭で伊予十三仏霊場第5番の「横谷山東河寺地蔵院」がありましたのでまず参拝します。
院内には、六角形の二層堂「六角子安地蔵堂」がありました。



        地蔵院                   社殿

      六角子安地蔵堂               子育て地蔵像               同 拡大画像

        手水鉢               南無興教大師の石碑

国宝の「山門(二王門)」はなぜか閉じられていたため、山門脇から境内に入りました。
門内に安置されている愛媛県有形文化財指定の「仁王像」は、鎌倉時代運慶の傑作と言われて云われています。



      閉じられた二王門                        門の横に??

      境内側からの二王門           門内 阿吽の仁王像

朝もやにぼんやりした:境内を見ると、左右に国指定重要文化財が並び、奥の一段高い位置に「本堂」が建つています。


                 朝もやの境内                          境内 石仏群

境内右側に、茶堂大師を祀る「茶堂」・国指定重要文化財袴腰式「鐘楼」(元弘三年(1333)建立) ・国指定重要文化財「三重塔」(鎌倉時代末期建立) が並びます。
鐘楼には、国指定重要文化財の「銅鐘」(建長三年(1251)造立) が吊られいて、住職しか撞けないとのことでした。



        茶堂                  堂の前の香炉
    
       袴腰式の鐘楼                銅鐘(転写)

        三重塔                 塔の前の石灯籠               百度石  

境内左側に「鐘楼」・阿弥陀三尊を祀る「阿弥陀堂」が並びます。
こちらの鐘楼は幸せの鐘とも呼ばれ、100円で撞くことができるそうです。
阿弥陀堂の横には、金網の小屋に安置された「賓頭盧尊者像」がありましました。



      銅楼(幸せの鐘)              梵鐘の下に観音像

       弘法大師像               托鉢姿の地蔵像

        阿弥陀堂                賓頭盧尊者               同 拡大画像

巨大五鈷杵の後ろの石段を上ると、国指定重要文化財の「本堂」(鎌倉時代末期建立) です。


      本堂前 一対の常夜灯           本堂前 宝篋印塔              本堂と巨大五鈷杵


本堂の左手には「韋駄天堂」がありました。
柱には大きな仮面が二つ掲げられ、堂内には高さ3mほどの木彫りの「韋駄天像」が祀られています。
床には健脚祈願と思われる「七転八起再生石」がたくさん置かれていました。
私は「健脚命」なので石をひとつ持っていきたかったのですが、一年して石をお返する機会がないと思いやめました。


    
        韋駄天堂               衛門三郎再生の石            木彫りの韋駄天像 (転写)

韋駄天堂の脇には、「八十八霊場都卒天洞」の看板がある「マストラ洞窟」がありました。
洞窟入口には、韓国の石像トルハルバンとか木彫りの七福神などが無造作に置かれていて、妖しさがプンプン漂っています。
100円を喜捨すればマントラ洞窟に入れますが、早朝の為か扉が閉まっていました。 



     八十八霊場都卒天洞              脇に小舎                 都卒天洞入口

     韓国の石像トルハルバン          木彫りの七福神など  

      奥に毘沙門天堂            洞窟入口の上に弘法大師像

更に上ると「観音堂」がありますが、時間が押していることもあり残念ながらパスします。


本堂の右手には、「絵馬堂」とその後ろに「十二社権現」(パス) があり、その先に「大師堂」が並んでいます。
更に大師堂の右手に、鬼子母神を祀る国指定重要文化財の「訶梨帝母天堂」(鎌倉時代末期建立) がありました。



        絵馬堂                  同 堂内 

        大師堂                 訶梨帝母天堂                 百度石

訶梨帝母天堂の右手前に、「一切経堂」・国指定重要文化財「護摩堂」(室町時代初期建立) ・「弥勒堂」が並んで配置されています。
丁度、三重塔の裏側になります。
少し先鐘楼の裏側に、病気平癒祈願の「穴地蔵堂」と「水天堂」が配置されていました。



        一切經堂                 護摩堂                 弥勒堂 

      弥勒堂から穴地蔵堂             穴地蔵堂  

        水天堂               同 内部の大きな絵馬

阿弥陀堂の裏手に、明治の傑僧「雲照律師供養塔」がありました。


       雲照律師供養塔             同 拡大画像           


寺院の東側にある「裏門」は二層構造になっていて、二層目に三蔵法師の彫刻が祀られていました。

  
         裏門               同 拡大画像(二層目)


抜け駆けの為1時間足らずと時間が限られ足早の拝観となりました。
それにしてはあまりにも寺院内が広く、又早朝薄暗い中での観賞でしたので、配置がよく把握できず不完全燃焼の拝観となったことが残念です。
四国霊場では随一ともいえる文化財の寺院であると云われている名刹ながら、入口にブッダの彫刻・怪しげな青銅の観音様、本堂裏にマントラ洞窟更に仁王門に集団的自衛権不用とか海外での武力行使云々の張り紙など訳がわからない寺院でもありました。住職は、さぞかし自由な方なのでしょうね。



10時 「古照山薬王院大宝寺

予定の松山城観光を終え、松山市大峰ヶ台の東南麓にある小さなお寺「古照山薬王院大宝寺」に向かいます。
松山在住の同期と連絡が取れ、50年振りの邂逅が実現できそうです。
予定の大宝寺と太山寺は、各30分程度の駆け足での参拝となります。

駐車場が空いていないため、ぐるっと廻り墓地側の駐車場から入りました。
墓地の傍には、阿弥陀如来坐像を祀る「夢殿」が建っていました。
目的の国宝の「本堂」(大宝年間(701~703)建立) は、愛媛県内最古の木造建築とのこと。
本堂前の桜の木には「うば桜伝説」があるそうです。



       墓地側の駐車場            駐車場の道祖神祝言像

       夢殿 墓地より               夢殿 正面

       境内に聖観音像              同 拡大画像

                   鐘楼

                   本堂

        乳母桜像                同 拡大画像

        参道の石段               手水舎                 一対の石灯籠



10時30分 「龍雲山護持院太山寺
 
不本意ながら四国八十八ヶ所霊場第52番札所「龍雲山護持院太山寺」は、大急ぎで詣でなければなりません。



                   境内Map

急ぎ足で、境内入口に建つ八脚門の国指定重要文化財の「仁王門」(鎌倉時代後期の建立)への長い石段を上ります。
門の中には、阿吽の金剛力士像が安置されていました。



       仁王門(二の門)                        仁王像(阿吽)

       仁王門 境内より           門の横に二体の地蔵菩薩像

仁王門を入ったすぐ左側に、眼病平癒祈願の「一畑薬師堂」がありますが横目に通り過ぎます。


       一畑薬師堂                同 拡大画像

少し先の案内看板に「本堂/250m上」の矢印があり、急ぐのにな~と思いながらも緑に覆われた参道をひたすら歩み続けます。
やがて右側に、「地蔵堂」が見え、口紅を塗ったかのような地蔵菩薩が祀られていました。
左側には鳥居があり、続いて「十三仏石像」「大日如来像」など石仏がズラッと並んで祀られていました。
太山寺は伊予十三仏霊場の第三番札所でもあるので、十三仏像が設置されているのでしょうか。



      緑に囲まれた参道               地蔵堂                同 拡大画像

      明神型鳥居に石仏群             十三仏像                大日如来像

        石仏が続く               阿閦如来像                修行大師像

        子安地蔵像       

参道の突き当たりに「手水舎」があり、大勢の巡礼姿の方々が身を清めていました。


       参道の先に手水舎              手水舎                聖観音菩薩像  

        地蔵菩薩像              子安地蔵像              玉を持つ地蔵菩薩像

手水舎の右側には、重層門「四天門」への石段があり「本堂」へと導きます。
名の通り、門の両袖の前後に夫々一人ずつ四天王が安置されていました。



       四天門 (三の門)          同 (表) 多聞天像・増長天像         同 (裏) 持国天像・広目天像

四天門をくぐると、境内の左側に「大師堂」への石段があり、その隣に真野長者を祀る「長者堂」・十一面観音菩薩像の「身代観音」が続きます。


        大師堂                  同 社殿 

        長者堂                 身代観音像

境内の右側には、「厄除大師堂」・天井に地獄絵の「鐘楼」・「香台」が並びます。
鐘楼には、愛媛県指定有形文化財の「梵鐘」(永徳三年(1383)造立) が収められています。
ここでも、巡礼姿の方々が香台を占領していました。


   
       厄除大師堂                  鐘楼                梵鐘(転載)   

         香台 

正面に、県下最大の大きさ国宝の「本堂」(嘉元三(1305)建立) が存在を示していました。


         本堂                  百度石    

本堂の右側に、「護摩堂」・「稲荷堂」・聖徳太子像を祀る「聖徳太子堂」が並びます。


        護摩堂                  稲荷堂                聖徳太子堂(夢殿) 


この後、松山在住の同期とは数十年振りに再開することができ50分ほど積もる話に熱中しました。

岡山までの帰路は、瀬戸内しまなみ海道(西瀬戸自動車道)経由で瀬戸内海の島々巡りを楽しみながらのドライブです。
今治と大島とを結ぶ世界初の三連吊り橋「来島海峡大橋」を走ります。


14時35分  「大山祇神社

途中、瀬戸内海芸予海峡の中央に位置している大三島に下りました。
日本総鎮守と呼ばれ、全国に一万社あまりの分社を持つ海の守護神「大山祇神社」に詣でます。




県道21号線に面して、「大山祇神社」の大鳥居がありました。


        明神型鳥居       鳥居前 和風獅子型狛犬(文政六年(1823)造立)

鳥居をくぐったすぐ右側には、「斎田」・駐輪所と化した「絵馬殿」・「御桟敷殿」がありました。
斎田とある小さな緑地は、
神饌田と呼ばれる神社の神田で神様にお供えするお米を作ってます。


         斎田                   絵馬堂                 御桟敷殿   

正面に、平成22年に室町時代の古図をもとに再建された「総門」が見えます。


       石橋と神社名碑             門前 一対の常夜灯     門前 和風獅子型狛犬(文化十三年(1816)造立)

         総門                 門内 隋神像               総門(境内から)

境内左側には、旧社務所の「斎館」・「神馬舎」・天斑駒神を祀る末社「馬神社」・神池の中ノ島に境内社の「宇迦神社」・長屋状態の十七の社の合祭殿で愛媛県指定有形文化財の「十七神社」(永和四年(1378)建立) が並んでいます。
十七神社の内陣には、国指定重要文化財の神像群が鎮座しています。



         境内                   斎館                 館前 常夜灯

        神馬舎                  馬神社

        宇迦神社        社前 宋風獅子型狛犬 明冶三十三年(1900)造立

        十七神社               社横 古い手水鉢

境内右側には、十七神社と向かい合う形で「手水舎」と「祓殿社・伊豫國総社・葛城社の合祀社」が並んでいます。  


         手水舎                 同 手水鉢           祓殿社・伊豫國総社・葛城社の合祀社

境内の奥に石段があり、上段に「神門」が見えます。
神門をくぐり、左の廻廊に「隼人の舞の像」が設置されていました。



        境内より神門            石段上 和風獅子型狛犬

         神門               隼人の舞のブロンズ像

神門をくぐると白土の庭が広がり周囲を廻廊や神符所が廻らされていて、神聖な気持ちになり正面の国指定重要文化財「拝殿」(江戸時代前期の建立) に参拝します。
拝殿の後方玉垣内の中心に、国指定重要文化財の「本殿」(応永三十四年(1427)建立) が鎮座しています。
本殿向かって左手に、境内摂社の「下津社」が、右手に、境内摂社で愛媛県指定有形文化財の「上津社」(延享年間(1744-1748)建立) が並んでいます。



       拝殿前の境内                拝殿     

       下津社(転写)                本殿(転写)               上津社(転写)    


南回廊の「宝物館巡路」と書かれた看板が架かった狭い「南門」を出たところに、国指定重要文化財の「
宝篋印塔」(鎌倉時代後期の造立) がありました。
三基の
宝篋印塔東塔」・「中央塔」・「西塔」のいずれも、細部に変化をつけていて同形ではありません。


         南門                三基の
宝篋印塔

  左側 東塔(文保二年(1318)造立)            中央 中央塔                右側 西塔


ここでも時間に追われ「宝物館」「国宝館」などを拝観することはできませんでしたが、途中でであった三基の宝篋印塔には暫し時間を忘れてしまいました。