秩父三十四観音霊場巡り (第4番・第7番・第16番・第31番)

 昨年暮れの鎌倉の石造美術巡りは、カルチャー旅行センター「クラブツーリスズム」のお世話になりましたが、この折に
 紹介して頂いた企画に「ふるさとの石仏を歩く」がありました。
 内容は、「秩父 観音院巡り」とありましたので早速応募しました。 
 コースの中の、金昌寺と法長寺は2006年5月に巡っていますが、秩父札所最大の難所「観音院」は単独ではなかなか往
 けない所なので期待できそうです。 
 今回は、歴史講師 長谷川和久氏が同行され、各箇所で解説をして頂きました。


 集合場所の新宿駅 (西口10号線高架下) 都庁大型バス駐車場には、幾つものツアー案内受付があり一瞬戸惑いを覚えまし
 た。
 出発時間の7時30分には、参加者11名がリクライニングシートに落ち着き定時出発をしました。
 途中、「道の駅 はなぞの」でトイレ休憩を入れただけの3時間のバスの長旅でした。

 
          集合場所               道の駅 はなぞの


 標高698mの観音山の山腹に建つ、秩父札所最古の寺院 秩父三十四観音札所第三十一番「鷲窟山観音院」に到着しました
 。
 まずは、長谷川講師の掛け声で柔軟体操を5分間。 いよいよ難所に挑戦です。
 駐車場に続く「十二支霊場 石仏」を通り抜けると「仁王門」に出ます。
 仁王門の左右には、裏山から採取した岩殿石で造られた 身の丈1丈3尺(3.91m)台座まで入れると4mを超す札所第一
 の高さを誇る荒削りの仁王石像が聳えます。 


 
        十二支霊場の石仏            三十一番入口の石碑
 
           仁王門                  同 阿吽の仁王像
                           明治元年(1868) 造立

 門を潜ると、不規則に踏石を置いた297段の急な石段道が続きます。
 階段の所々には「丁目石」が配置されており、両側には巡礼者などの「句碑」が並びます。
 ここは、21丁目から始まり25丁目まででした。


 
       三十一番入口の石碑             21丁目石                22丁目石
 
          23丁目石                24丁目石                25丁目石
 
          急な石段                 立ち並ぶ句碑

 石段のあちらこちらに、数多くの石仏が安置されていて長い階段も飽きることがありません。


 
 ------------------------------------------------ 階段沿いに点在する石仏 -----------------------------------------------
 
 ------------------------------------------------ 階段沿いに点在する石仏 -----------------------------------------------
 
      西奥の院 立入り禁止の立札

 石段を上り詰めると、三方を覆いかぶさるような大岩壁断崖に包まれて本堂 (観音堂) が佇んでいます。
 本堂の左側には落差約60mの聖浄の滝があり、滝の中腹辺りには大きな「不動明王像」が祀られています。


 
          鐘楼                     本堂 
 
          聖浄の滝                同 拡大画像 不動明王像

 滝壺付近に、5基の石仏・石碑が並んでいました。


 
        5基の石仏・石碑            同 拡大画像 不動明王像          同 拡大画像 2基の地蔵像
 
 更に滝の傍には、埼玉県指定史跡「鷲窟磨崖佛の石碑」がありました。
 当初、磨崖佛を探し上方に頭をめぐらしましたが、講師の説明があり目の前の像を拝観することが出来ました。
 磨崖仏は、身の丈5cm程度の線刻で、弘法大師が一夜で彫り上げたと伝えられる「爪彫り千体仏」です。
 一万八千佛あると云われる爪彫り像も、経年風化や脆い岩盤 (花崗岩質砂岩) の剥離により相当数判読不能になっていると
 思われます。
 史跡の保護は難しいのでしょうか。


 
        鷲窟磨崖佛の石碑       --------------------------------- 爪彫り千体佛 --------------------------------
 
 -------------------------------- 爪彫り千体佛 --------------------------------          同 拡大画像 
 
         窟内の地蔵像              窟内の地蔵像
 

 本堂の前には、前回の鎌倉にも負けない「宝篋印塔」が聳えていました。 


 
          宝篋印塔
 
          同 基礎部                同 塔身部                 同 相輪・笠部

 本堂の右側には、「大師堂」があり弘法大師の木造が祀られています。
 大師堂の前に、お天狗様のお堂があります。
 

 
           大師堂                 同 弘法大師像                慈母観音像
 
        お天狗様のお堂               2千年前の地層

 庫裏の脇を通り、「東奥の院」へ向かいました。
 東奥の院周回コースの始点に、7体のお地蔵様が祀られていました。


 
          7体の地蔵像              二体の地蔵像              奥の院 見晴し台への路 

 快晴のお陰で見晴し台からは、眼下に観音院を見下ろし、更に落石の危険のため立ち入ることが出来なかった「西奥の院」
 を望むことができました。

 
          眼下に観音院               西奥の院 全景
 
 ------------------------------------------------------ 同 拡大画像 -----------------------------------------------------

 見晴し台にも、立派な「宝篋印塔」とか、精密な造りの「疱瘡神石殿」がありました。

 
 
          宝篋印塔
 
          見晴し台                    疱瘡神岩殿               三体の地蔵像

 奥の院の周回路には、石仏が点在して祀られています。


 
 -------------------------------------------------------- 地蔵像 -------------------------------------------------------
 
       不動明王像と地蔵像           同 拡大画像 不動明王像

 奥の院の「馬の蹄跡洞窟」には、千手観音・十一面観音など37体もの石仏が比較的綺麗な姿で安置されています。


 
 ----------------------------------------------------- 奥の院の石仏 ----------------------------------------------------
 
 ----------------------------------------------------- 奥の院の石仏 ----------------------------------------------------
 
 ----------------------------------------------------- 奥の院の石仏 ----------------------------------------------------
 
          奥の院の石仏                六地蔵石憧                百番供養塔


 初詣という企画で、秩父の総社「秩父神社」に立ち寄りました。


 
          神明型鳥居               和風獅子型狛犬                 神門
 
          水舎                   拝殿                 同 奉納の天狗面

 拝殿から本殿に至る壁面には、左甚五郎などの彫刻で彩られています。
 「よく見、よく聞いて、よく話そう」などという、「お元気三猿」の彫刻もありました。


 
        権現造りの拝殿
 
      同 左甚五郎作 子育ての虎         同 左甚五郎作 つなぎの龍             同 お元気三猿

 神門から拝殿にかけて、各所の神社が境内外社として配置されています。


 
          柞稲荷神社                同 社殿                同 お稲荷さま
 
         日御崎宮                 諏訪神社                天満天神社
 
           東照宮                 枉津日社


 秩父の町を一望するレストランで昼食を取りました。


 
      秩父の山並みと町並み


 食後の心地よい一時をバスに揺られてウトウトする間に、秩父三十四観音札所第十六番「無量山西光寺」に着きました。

 
         弁財天の石碑                 山門                  山門前 六地蔵像 
       天保十二年(1841) 造立

 山門の横に、「関東八十八ヶ所/特別霊場」の看板が掛かった「廻廊堂」の出口がありました。
 内部は、四国八十八霊場 第一番霊山寺から第八十八番大窪寺までの写しの本尊がガラス越しに奉安されており、コの字型の
 堂を左へ左へと一巡すると釈迦佛足跡の辺りに出るようになっています。

 
         特別霊場の入口
 
          内部                  同 釈迦如来像               同 おびんずる様

 廻廊堂に包まれるように、昔の木の納札を打った無数の釘跡が残る秩父最古の「納札堂」と金毘羅大権現を祀る「金毘羅
 堂」が並んでいます。


 
      四国八十八箇所霊場砂場の石碑           釈迦佛足跡               同 拡大画像
 
          薬師如来像                  地蔵菩薩像                   筆子塚 
 
          札堂                 金毘羅大権現のお堂             同 堂内 十一面観音像
 
 本堂では、住職が左右両手同時に筆を動かしながら猪の墨絵を描いて、参拝者に手渡しサービスをしていました。

 
        本堂 (観音堂)
 
          水舎                    水鉢               水鉢の裏に薬師如来の石碑 

 本堂左の側には、毎日3合飲んでも30年は飲めると言われる大きな酒樽で作られたお堂があり、木造の「大黒天像」が
 安置されています。


 
          酒樽大黒天                  同 拡大画像 
 
          五層の石塔                  石灯篭

 秩父駅に向かう県道208号線沿いに、西光寺の駐車場がありました。
 前回 (2007年1月) に訪れた折には、山門側から入りましたので見落としたゾーンです。
 駐車場といっても、何体かの石仏・石塔などが配置されていて一種の霊界を感じました。


 
          九層の石塔                聖観音像
 
           涅槃像                  秩父観音巡礼像



 秩父札所の中でも最も人気の高いといわれる 秩父三十四観音札所第四番「高谷山金昌寺」は、30分の拝観でした。
 金昌寺は、2006年5月に拝観しています。
 こちらをご覧下さい。  秩父霊場巡り (2) 金昌寺


 
          山門             


 秩父札所の中で屈指のお堂を有する 秩父三十四観音札所第七番「青苔山法長寺」は、20分の拝観でした。
 法長寺は、2006年5月に拝観しています。
 こちらをご覧下さい。  秩父霊場巡り (2) 法長寺

 
 
          山門                冠雪の武甲山 (法長寺より)   



 今回は、最大の目的である観音院巡りを達成でき、充実したツアーでした。
 西奥の院に入れなかったのは残念ですが、弘法大師の「爪彫り千体仏」や修験行者が水垢離をする「聖浄の滝」岩壁に散見
 できる「窟内石仏」など、霊場の雰囲気を充分味わうことができました。
 1時間程度の滞在でしたが、今度は半日くらいは拝観に時間をかけたい思いました。
 秩父市街にある「西光寺」は、こじんまりしていますが手入れも良くて、非常に充実したお寺だと思います。
 貴重な史跡である「秩父最古唯一の納札堂」とか「四国八十八霊場の弘法大師」「大日如来の尊像を集めた廻廊堂」そして
 「招福酒樽大黒」など見るべき造物が効率よく配置されていました。

 帰路、練馬市役所前で途中下車し西武池袋線練馬駅に出ました。
 予定より1時間以上早く帰宅しましたが、天候にも講師にも恵まれ満足の1日でした。