多摩川七福神巡り
先月巡拝した大田区池上地区の「池上七福神巡り」に隣接する、大田区矢口地区の「多摩川七福神巡り」を企画しました。
多摩川七福神巡りは、2014年に町おこしとして始まった東京の七福神巡りとして最も新しい七福神巡りです。
厳しかった前回の教訓を生かし、年齢相応にゆったりとした4Km弱の短いコースを組みました。

        



10時10分、東急多摩川線武蔵新田駅をスタートします。
踏切を渡り、駅裏を南東に進むと幟が見えます。


         武蔵新田駅                 駅裏を南東に進む


多摩川七福神の福禄寿を祀る「矢口中稲荷神社」です。
東急武蔵新田駅の蒲田行きホームに寄り添うようなかたちで、ホームと道の間の狭い隙間のような土地にある神社です。
狭い境内に、2つの鳥居があります。
社殿前には、金網で保護された一対の神狐像が配置されています。


           全景                朱の明神型一之鳥居              明神型二之鳥居

   金網で保護された一対の神狐像              社殿                 同 社殿内 福禄寿像



線路沿いに逆方向北西に向かいます。
道なりに進み、二差路を左に向かうと幟が見えます。


         逆方向北西に                  東急電車                   道なりに右へ

         二差路を左へ



多摩川七福神の布袋尊を祀る「矢口ノ渡頓兵衛地蔵尊堂」です。
お堂は、新田義興の謀殺事件の船頭が謀殺に加担したことを悔いて、その冥福を祈って建てたものと伝えられています。
堂内には、大田区文化財の「とろけ地蔵」とも呼ばれ、材質が砂岩のため摩耗が激しく溶けたように見える「頓兵衛地蔵像」が安置されています。新田義興の祟りで顔が溶けたという言い伝えもあります。


          地蔵堂                 左脇の地蔵像

        同 堂宇内                    同 布袋尊像             同 頓兵衛地蔵像(とろけ地蔵像)



来た道を少し戻り、東急多摩川線の踏切を渡り南東に進みます。
武蔵新田駅から続く「むさしにったふれ愛門エリア」の五差路を南(新田中央通り)に向かうと、「むさしにった未来門エリア」に神社の杜が見えます。


                       商店会マップ

        踏切を渡り南東へ                五差路               南(新田中央通り)を進む

        神社の杜が見える



多摩川七福神の恵比寿天を祀る「新田神社」です。
南朝総大将新田義貞の次男である新田義興公をお祀りしている御霊信仰の神社で、社殿の後方には直径10mほどの円墳があり、義興の遺骸を埋めた墳墓と伝わります。




           前景               金塗り文字の神社名碑 

         一対の石灯篭                 明神型鳥居


鳥居をくぐり境内に入ると、左側に「宝物殿」「神輿庫」が配置されています。


         境内の左側                  同 宝物殿

        同 神輿庫                     同 庫内                 同 恵比寿天像


境内の右側には、主の鳥居に囲われる樹齢700年といわれるケヤキの「御神木」境内社の「稲荷神社」花手水の「手水舎」石の彫刻でつくられたLOVE神社という「オブジェ」が配置されています。


         境内の右側                        御神木 朱の明神型鳥居

        境内社 稲荷神社              同 朱の明神型鳥居

         同 境内                同 一対の神狐像

       同 社殿左脇の神狐像               同 社殿                同 社殿右脇の神狐像

          手水舎                   同 手水鉢                LOVE神社のオブジェ


境内の正面には、一対の「狛犬」が配置され 流造の「拝殿」神明造の「本殿」が建っています。


       一対の和風獅子型狛犬                 拝殿                      幣殿-本殿


社殿左側には、石の「卓球台」唸る「狛犬」大田区指定有形文化財の「矢口新田神君之碑」「道標」約180〜240kgほどの重量がある4個の「力石」武蔵新田駅前通りに建てられていた「一之鳥居の納所」「御塚」が配置されています。
「道標」は、正面に大きく「従是右新田大明神道」の陰刻がなされています。
唸る狛犬」は、新田義興の謀略を企てた畠山国清の一族や子孫が新田神社付近に来ると、決まって雨が降り狛犬がうなったとの伝えがあります。一対の狛犬でしたが、戦災によって吽像が壊れてしまい現在は阿像のみになっています。
御塚」は、フェンスで囲まれていて一見すると雑木林に見えますが、新田義貞の次男新田義興公のご遺体を埋葬した直径約15mの円塚です。この塚に入ると祟りがあることから「迷い塚」「荒山」ともいわれています。


         石の卓球台                 唸る狛犬                  同 拡大画像

        矢口新田神君之碑                 道標                   4個の力石 
       延享三年(1746) 造立          文化十四年(1817) 再建

         一之鳥居納所                    御塚



一つ目の角を左折し 次の角を右折して南へ進むと、
氷川児童遊園の中に社殿が見えます。


        一つ目の角を左折                次の角を右折             公園の中に社殿が見える



多摩川七福神の大黒天を祀る「矢口氷川神社」です。
境内はやや広めですが、半分ほどは区立の児童遊園として整備されています。
氷川神社は、荒川流域に多く見る事ができますが 多摩川流域においては大変珍しく、大田区唯一の氷川信仰の神社(氷川神社)となっています。


           前景                   明神型鳥居                    手水鉢
                                                文政三年(1820) 造立

         一対の石灯篭                一対の和風獅子型狛犬
                             嘉永二年(1849) 造立

      社殿前 一対の天水桶                  社殿                同 社殿内 大黒天像


社殿右手に、境内社の「三社稲荷社」が朱の柵に囲われて鎮座しています。


    朱の柵に囲われた三社稲荷社             同 一対の神狐像                同 社殿



神社前の道を南へ向かい、一つ目の角を左折すると寺院門が見えます。


        神社前の道を南へ             一つ目の角を左折                寺院門が見える



玉川八十八ヶ所霊場62番札所の「福田山花光院蓮花寺」です。
閉門されていましたが、隣の駐車場から入り拝観させて頂きました。
「宝篋印塔」の台座に、4面4体づつ16体の羅漢像が彫られています。
本堂の前の覆屋に「地蔵菩薩像・六地蔵像・不動明王像」が安置されています。


           前景 

          宝篋印塔                           同 台座に16体の羅漢像

         本堂前の覆屋               同 地蔵菩薩像                同 六地蔵像
                            文化十四年(1817) 造立          文化年間(1804-1818) 建立

         同 不動明王像                  同 地蔵菩薩像                  同 銅鑼
                              宝永七年(1757) 造立

         水子地蔵尊                  同 拡大画像             西國四国秩父坂東巡礼供養塔

本堂右脇 弘法大師千百五十年遠忌供養塔       本堂前 一対の天水桶                 本堂

         五層の石塔                   水鉢                     井戸


通りを隔てて、隣に鳥居が見えます。


        先に鳥居が見える



旧今泉村の鎮守「今泉神社」です。
鳥居の下に嵌めこまれた方位プレートの先に、フェンスで囲われた入母屋造の「拝殿」が建っています。
「手水鉢」の前面を、両手を太腿に置き両肩をいからすように力神が担いでいます。


           前景                   明神型鳥居                   方位プレート
                            昭和二年(1927) 造立

          御輿庫                    手水鉢                   同 鉢を担ぐ力神
                            慶応元年(1865) 造立

         戦勝記念碑                二個の力石
                             明治二十八年(1895) 造立

         一対の石灯篭             一対の宋風獅子型狛犬
                            平成六年(1994) 造立

       拝殿前 一対の天水桶                 拝殿


境内の左側に、境内社「石宮」と「稲荷神社」が配置されています。
稲荷神社の守護に、神狐像でなく狛犬が配置されています。


         境内社 二社                境内社 石宮

        境内社 稲荷神社              同 一対の宋風獅子型狛犬                同 社殿
                             大正二年(1913) 造立



西へ向かい、突き当りを左折します。
新田中央通りの「むさしにった希望門エリア」へと戻ったことになります。
エリア表示看板の下に覆屋が見えます。


         西へ向かう                突き当りを左折

         新田中央通り                 覆屋が見える



武蔵新田商店街の庚申堂」です。
お堂には、「青面金剛像の庚申塔」と「阿弥陀如来像」が祀られています。


        庚申の覆屋

         同 二基の石仏              同 青面金剛像の庚申塔             同 阿弥陀如来像
                              元文五年(1740) 造立            延宝六年(1678) 造立



その向かい奥に、朱の鳥居が見えます。


       向かいの駐車場                朱の鳥居が見える



「豊受稲荷大明神」です。
駐車場の一角に、ひっそりと朱の鳥居と社殿が祀られています。


        朱の明神型鳥居                     社殿



先の矢口南交差点を渡ると、直ぐに七福神の幟が見えます。


         矢口南交差点



旧今泉村の鎮守で多摩川七福神の毘沙門天を祀る「十寄神社」です。
新田義興とともに討死した支族・近習の将兵を合祀した神社で、10名を祀ったので十寄神社また十騎神社と呼ばれています。
江戸時代、十寄神社へ参拝した後に新田神社で願掛けを行うと願いが叶うとされと伝えられ、神社名碑にも「是ヨリ本社 江 二丁」と陰刻がなされています。(本社とは、新田神社を指しています。)
駐車場の参道の奥に、小ぶりながら見栄えのする神明造の「拝殿」が建っています。


           前景                   神社名碑 
                            享和二年(1802) 造立

         神明型鳥居               境内社 十騎神社                   手水鉢 

      境内 宋風獅子型狛犬             拝殿前 和風獅子型狛犬
       昭和十四年(1939) 造立            享和三年(1803) 造立

           拝殿                同 拝殿内 毘沙門天像                    本殿


南へ向かい、五差路を左折し東へ進むと覆屋が見えます。


         五差路を左折                  東へ                   覆屋が見える



今泉北向庚申」です。
剥落が進む「青面金剛像の庚申塔」が祀られています。


         庚申塔の覆屋                青面金剛像の庚申塔
                               文化五年(1808) 造立



今泉北向庚申の角を右折し 更に一つ目の角を左折すると、
今泉保育園の先に七福神の幟が見えます。


        覆屋の角を右折             一つ目の角を左折                  幟が見える



多摩川七福神の寿老人を祀る「願海山延命寺」です。
新田義興の怨霊による落雷で堂宇が焼失したが、難を逃れ命名したとの伝えがあります。
山門の左側には「聖徳太子御作 火雷除子安地蔵尊」の石標があります。


           前景               聖徳太子御作の石碑


山門を入った左側には「動物慰霊供養塔」「六地蔵六面石幢」が、左手奥には「馬頭観世音碑」「兼斎上人之塚」「戦病死忠霊碑」が配置されています。


         山門の左側               動物慰霊供養塔               同 聖観音像菩薩像

      六地蔵六面石幢(東面)              同 (南面)                   同 (西面)
       弘化三年(1846) 造立

          左手奥                同 二基の馬頭観世音碑              同 兼斎上人之塚

       同 戦病死忠霊碑                 同 石灯篭                  同 石灯篭


流造の「本堂」の外壁に、小さな「撞鐘」が吊るされています。


   本堂前 コンクリート製の天水桶              本堂                     同 撞鐘


境内の右側には、「明照殿」「地蔵堂」があり、続く藤棚が「手水舎」になっていて、墓地入口に「線彫りの如来碑」が配置されています。
地蔵堂には、「火雷除子安地蔵尊」と多摩川七福神「寿老人像」が祀られています。
墓地には、コンクリートで固められたアート作品のような「無縁仏塔」が聳え立っています。


         山門の左側                   明照殿                  地蔵堂

          同 堂宇内               同 火雷除子安地蔵尊                 同 寿老人像

         藤棚の手水舎                   同 拡大画像                 同 手水鉢 

        同 地蔵菩薩像             墓地入口 線彫の如来碑

       墓地内 無縁仏塔                 同 中心仏                 山門側 無縁仏塔



戻って 今泉保育園の角を左折し、ひたすら南へ進みます。
突き当りを右折 更に次の角を左折し、再び南へ進むと多摩川の土手が見えてきます。
手前の角を右折すると、寺院の白壁が見えます。


           ひたすら南へ             突き当りを右折                   次の角を左折

           ひたすら南へ            多摩川手前の角を右折             寺院の白壁が見える



玉川八十八ヶ所霊場63番札所の「播曜山恵門院圓應寺(円応寺)」です。
山門を入ると、正面の長い階段の先に「本堂」が待ち受けています。
境内の左側に、塀に沿って「十三仏」が横一列に配置されています。
更に続いて、「宝篋印塔」大きな「大日如来像(胎蔵界)」青銅の「弘法大師」が並びます。


           前景                     本堂

       境内左側 十三仏         同 不動明王・釈迦如来・文殊菩薩      同 普賢菩薩・地蔵菩薩・弥勒菩薩 

     同 薬師如来・観音菩薩・勢至菩薩     同 阿弥陀如来・阿閦如来・大日如来(金剛界)         同 虚空蔵菩薩

          宝篋印塔              大日如来像(胎蔵界)                 青銅の弘法大師像


墓地の入口には、剥落が激しい「地蔵菩薩像(?)」真新しい「六地蔵像」剥落が進む「地蔵菩薩像」大田区指定有形民俗文化財の「青面金剛像の庚申塔」が並んで配置されています。
1m56㎝の「青面金剛像の庚申塔」は、区内に現存する青面金剛像を彫った庚申供養塔としては最古のものとのことです。


        墓地入口の石仏                同 地蔵菩薩像(?)                    同 六地蔵像

       同 地蔵菩薩像             同 青面金剛像の庚申塔               手水鉢
                           寛文十二年(1672) 造立



通りを挟んで向かい側に、大田区立古市児童遊園が見えます。
多摩川沿いに走る大田区道主要第102号線の信号を渡ると、直ぐ公園入口に鳥居が見えます。


        遊園が見える            大田区道主要第102号線の信号



旧村社で 多摩川七福神の弁財天を祀る「東八幡神社」です。
やや下りの石段を降た鳥居手前左脇に、「矢口の渡し跡碑」が配置されています。
境内の左側に色彩豊かな「神輿庫」、右側に「手水舎」、正面に鉄筋コンクリート製神明造の「社殿」が建っています。
境内東側(手水舎後方)は、遊具がある大田区立古市児童遊園になっています。


           前景                   明神型鳥居                  矢口の渡し跡碑

            神輿庫                      手水舎                   同 手水鉢
                                                   大正十一年(1922) 造立

       一対の狛犬宋風獅子型             一対の石灯篭
      明治三十五年(1902) 造立

           拝殿                 同 拝殿内 弁財天像                 本殿



大田区道主要第102号線の信号を渡り、多摩川の土手にでます。
河川敷に、新田義興が謀殺された「矢口の渡し場跡」の案内板が見えました。1949年、多摩川大橋が架橋されるまで区内最後の渡し場だったとのこと。
多摩川大橋を縦断する第二京浜国道(国道1号線)を、北へ向かいます。
途中のファミレス「華屋与兵衛 多摩川大橋店」で、40分のランチ休憩を取ります。
休憩後東へ進み、二つ目の信号を左折し北へ駅に向かいます。
途中、セブン-イレブン 大田区多摩川1丁目店の角を左折すると、駐車の先に覆屋が見えます。



         多摩川の土手                 河川敷               矢口の渡し場跡の案内板

        多摩川の標識板                多摩川大橋

       第二京浜国道を北へ              ファミレスが見える             二つ目の信号を左折

        北へ駅に向かう           セブン-イレブンの角を左折            駐車の先に覆屋が見える



方光地蔵尊」です。
​戦​災​横​死​者​の鎮魂を願って「地蔵菩薩像」が安置されています。


        方光地蔵尊の覆屋              同 拡大画像



更に北へ向かい、13時過ぎに東急多摩川線矢口渡駅に着きました。


          踏切が見える              矢口渡駅に到着




2023年度3回目の多摩川巡りになります。1月「大田区富士塚巡り(1)」で上流に位置する東急東横線多摩川駅付近の田園調布地区、3月「大田区富士塚巡り(2)」で下流に位置する京急空港線穴守稲荷駅・大鳥居駅付近の羽田地区を巡行しました。今回は、その中間に位置する東急多摩川線付近の武蔵新田駅矢口地区~矢口渡駅にかけての3.5Kmを巡り歩きました。
2014年に始まった新しい七福神巡りとあり、七福神像は画一的で真新しいものでした。
今回廻った矢口地区には、新田義貞の次男である新田義興らにまつわる様々な逸話や史跡が残っていることを知りました。
 ・東急多摩川線の「武蔵新田」は、“むさしにった”と読む。
 ・新田義貞の次男新田義興を祭神とする「新田神社」。「唸る狛犬」伝説。
 ・矢口渡で義興公に殉じた忠烈十勇士を祀る「十寄神社」。
 ・新田義興の怨霊に追われた江戸遠江守が逃げ込み、雷が落ちてお堂が焼失した「延命寺」。
 ・新田義興が謀殺された「矢口の渡し」。
 ・新田義興らを沈めた渡し舟の船頭でその後罪を悔いて建てた「頓兵衛地蔵」。
7月の酷暑の中での巡行ですが、この時期としては50%台という低い湿度でしたので快適なウォーキングを楽しめました。